ワークライフバランス重視の転職ガイド | 20代から考えるキャリア戦略
家事と仕事の両立|知る、つながる、働くわたし

仕事に追われる毎日を過ごすなか、「このままの働き方を続けて大丈夫なのかな。」と不安になることはありませんか?
結婚・出産・育児といったライフイベントを考えると、ワークライフバランスを重視した働き方を実現できる環境を手に入れたいと考えることは自然なことです。
とはいえ、転職でワークライフバランスを理由にして良いのか、面接官にどう伝えれば不利にならないのかと悩む方も多いでしょう。
この記事では、あなたが理想とする働き方を実現するために、ワークライフバランスを重視した転職を成功に導く方法を紹介します。
目次
これからの働き方とワークライフバランスを意識し始めた20代へ
入社から数年が経ち、日々の仕事にも少しずつ余裕が生まれてくる20代。
同時に、これから先どのようにキャリアを重ねていくのか、そしてどのような生活を送りたいのかを意識し始める時期かもしれません。
30代に向けては結婚や出産、育児といった生活の変化が訪れる可能性が高まり、仕事とプライベートのバランスを見直す機会が増える傾向にあります。
こうした変化に備え、
「仕事と生活のバランスを大切にしながら働きたい」
「無理なく働き続けられる環境を選びたい」
といった思いから、ワークライフバランスを重視した転職に興味を持つ方もいることでしょう。
まだ将来の形がはっきりと見えない段階でも、自分にとって大切にしたいワークライフバランスや、望ましい働き方の方向性を模索してみることは、将来の選択肢を広げる一歩につながります。
ワークライフバランス重視の転職を成功させる5ステップ
STEP1 | 自分にとってのワークライフバランスを整理する
まず大切なのは、あなたにとってのワークライフバランスは何かを具体的にすることです。
たとえば、こんな希望はありませんか?
- 残業時間を減らしたい
- 週末は確実に休んで、自分や家族の時間を確保したい
- 有給休暇を気兼ねなく取得できる雰囲気が欲しい
- リモート勤務を活用したい
- 出勤時間の柔軟性が欲しい
- 将来、育児や介護と仕事を両立できる環境が良い
これらの希望に優先順位を付けて、転職の方向性を明確にしましょう
STEP2 | 現在のスキルと市場価値を客観視する
次に、これまでのキャリアを整理し自分のスキルを把握しましょう。
- 現在の年収と同業界での相場
- 保有している資格・スキル
- これまでの実績や成果
- 他社でも活かせる経験・知識
自分自身で市場価値を把握することは難しいと感じる方におすすめなのは、転職サイトの年収診断ツールや、転職エージェントのキャリア相談を活用することです。客観的な視点で、あなたの強みや改善点を教えて貰えます。
STEP3 | ワークライフバランスを実現しやすい職種を選ぶ
働き方は、職種によって変わります。ここでは、ワークライフバランスを重視して転職する場合におすすめの職種を紹介します。
事務職(一般事務・営業事務など)
繁忙期が比較的予想しやすく、スケジュールを立てやすいのが事務職の魅力です。顧客対応が少ない分、突発的な残業も発生しにくく、ライフスタイルに合わせた働き方が叶うでしょう。
社内SE
客先常駐と比べて勤務地が安定しています。自社開発や社内サポートを中心に取り組むため、プロジェクトを自社のペースで進められるのが社内SEの特徴です。出社頻度は高くなる可能性がありますが、働き方は安定しやすい職種です。
薬事・品質管理職
業務の繁忙スケジュールを把握しやすく計画的に働けることが多い職種です。専門性も高く、長く安定したキャリアを築けるのも魅力です。
医療事務・調剤薬局事務
病院やクリニックの診察時間に合わせた日中勤務が中心です。規則正しい生活リズムを保てることから、仕事とプライベートのバランスを保ちやすい職種といえるでしょう。
キャリアカウンセラーからのアドバイス
ワークライフバランスを理由に転職相談に来られる方は多いです。なかでも、営業やSEなど外回りや残業の多い職種から、事務職への転身を希望されるケースが目立ちます。経理や人事は専門知識や経験が求められる事が多いですが、一般事務や営業事務は未経験からでもチャレンジできる可能性が高いと言えます。土日休み、残業が少ない求人も有りますから、働き方を変えたい方には適した選択肢だと思います。
STEP4 | 業界を見極める
同じ職種でも、業界が変われば働きやすさが異なる可能性があります。ここでは、ワークライフバランスを実現しやすい業界をピックアップしました。
大手メーカー
経済産業省の「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を受けている企業も多く、残業削減や有給取得促進など働き方改革が進んでいます。長期的なキャリア形成を見据えた環境が整っている可能性が高いでしょう。
IT業界
フレックスタイム勤務やリモートワーク導入に積極的な企業が多い業界です。場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を叶えられる環境が多く見られます。
銀行・金融業界
法定基準以上の休暇制度、長時間労働の抑制などを推進する企業が増えています。正社員における女性比率が高い業界であり、育児等の制度が整備されていることが多いです。
STEP5 | 応募書類・面接では前向きな姿勢で伝える
ワークライフバランスを理由に転職を考えること自体は悪いことではありません。しかし、伝え方を間違えてしまうと、いまの仕事から逃げ出したいだけ、条件ばかりを気にしている、というマイナスな印象を与えかねません。大切なのは、働きやすい環境でより高い成果を出したいと、前向きに表現することです。
- 効率よく仕事をしたい、という前向きな姿勢を示す
- 子育てと両立し将来的にはマネージャーになりたい。など長期的なキャリアプランがあることを伝える
- 会社へどのように貢献できるかを伝える
これらのポイントを意識すると、ワークライフバランスを理由とした転職でも、相手に好印象を与えることができます。
キャリアカウンセラーからのアドバイス

面接では、まずは自分の強みや実績をしっかりとアピールすることが最優先です。そのうえで最後に1~2点、ワークライフバランスに関する質問を添えるのが良いでしょう。まずは自分がどう貢献できるかを伝え、その後で長く働ける環境かどうかを確認する流れが理想的です。
ワークライフバランスを実現できる企業の見分け方
制度の有無を確認する
求人サイトや企業ホームページで確認できる、基本的な制度をチェックしましょう。
- フレックスタイム制度
- リモートワーク制度
- 育児休業制度
- 介護休業制度
- 年次有給休暇の取得推進制度
興味を持った企業に、自分がワークライフバランスで重視したい制度があるかを把握しましょう。
実績をチェックする
制度が整っていても実際に使いやすいかは別問題です。また、希望する制度が企業内で活用されているかを確認することも重要です。
1. 有給取得率
- 2024年調査の年次有給休暇平均取得率65.3%と比較し、有給の取得しやすさを把握しましょう。※参考:厚生労働省「働き方・休み方改革取り組み事例集」
- 部署の差が大きくないかも確認したいところです
2. 育休取得率、育休復帰率
- 女性だけでなく、男性の取得実績も重要です
- 復帰後の継続就業率も確認してください
3. 平均残業時間
- 年間を通じた平均値を確認しましょう
- 繁忙期の残業時間上限についても質問してみましょう
認定マークを確認する
以下の各種マークは、企業が働き方改革へ積極的に取り組んでいかどうかを判断する参考指標として活用できます。ただし、認定の有無だけではなく、口コミサイトなど他の情報と組み合わせて総合的に働きやすさを判断しましょう。
主な認定マーク
| くるみん認定・プラチナくるみん認定 | ・育てサポート企業としての認定 ・男性の育児休業取得率や働き方改革の実績を評価 参考:厚生労働省「子ども・子育てくるみんマーク・プラチナマーク・トライくるみん認定等」 |
| えるぼし認定・プラチナえるぼし認定 | ・女性活躍推進企業としての認定 ・管理職に占める女性の比率や、女性の継続就業率を評価 参考:厚生労働省「雇用・労働女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」 |
| 健康経営優良法人(ホワイト500) | ・従業員の健康を保ちながら働ける環境づくりに積極的な企業としての認定 ・働き方改革やストレスチェック等への具体的な取り組みを評価 参考:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」 |
| ユースエール認定 | ・若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な企業としての認定 ・正社員の月平均所定労働時間が20時間以下、有給休暇取得率70%以上等の認定基準 参考:厚生労働省「ユースエール認定制度」 |
企業のサステナビリティレポートや有価証券報告書等を読む
企業の公式サイトから閲覧できる、サステナビリティレポートをチェックしてみてください。「Social(社会)」の項目に、月平均残業時間や育休復帰率、時短勤務の利用状況など詳細な実績データがまとめられています。
上場企業であれば、金融庁のEDINETや企業のIRページから、有価証券報告書を確認してみましょう。「従業員の状況ページ」に、ワークライフバランス関連データが記載されています。
転職エージェントを通して情報を確認する
転職エージェントのキャリアカウンセラーは、求人に書かれていない社内の実態や雰囲気を把握していることがあります。これは、自力では得られない貴重な情報源です。
キャリアカウンセラーからのアドバイス

前に内部事情や社風を把握しておくことで、自信を持って面接に臨めますし、入社後のミスマッチも防げます。エージェントによっては、応募書類の添削や、企業に合わせた志望動機の方向性を個別にアドバイスしてくれますので、ぜひ活用してみてください。
面接で職場環境について質問する
働き方の実態について確認しましょう。具体的な質問の仕方をご紹介します。
働き方の実態について
- 平均的な退社時間を、教えていただけますか?
- 繁忙期と閑散期で、どの程度働き方に違いがありますか?
- リモートワークを活用されている方の割合は、どのくらいですか?
制度の利用状況について
- 育児休業から復帰された方の、働き方のパターンを教えてください
- フレックス制度やリモート勤務を利用する際の、チーム内でのコミュニケーション方法を教えてください
評価制度について
- 成果を測る指標として、最も重視されている項目は何ですか?
- 働き方の柔軟性と評価の関係について、教えてください
応募書類に盛り込む志望動機・自己PR例
応募書類においては、なぜその企業を選んだのか、自分がどのように貢献できるかをセットで伝えることが基本です。ワークライフバランスを重視しているという想いを、仕事への前向きな姿勢や長く働きたい意欲と結び付けて表現しましょう。
志望動機例
貴社を志望する理由は、働き方改革に積極的に取り組まれ、効率的な業務運営を重視されている点に強く共感したからです。前職では営業事務として、限られた時間のなかで最大成果を出すことを心掛けてきました。効率的に業務を進め、安定した成果を出し続けられる環境で長期的にキャリアを積み重ね、将来的にはマネジメント職としてチーム全体の生産性向上を牽引していきたいです。
自己PR例
私の強みは、限られた時間のなかで最大の成果を出す効率重視の業務遂行力です。
前職では〇日かかっていた作業を、Excelのマクロや生成AIの活用、チェック体制の見直しにより〇日で完了できる仕組みを構築しました。この改善により、チーム全体で月〇時間の業務時間短縮を実現、その分をお客さま対応に多く充てられるようになりました。貴社でも、効率化への取り組みでチーム全体の生産性向上に寄与したいです。
自分の希望を主張するだけでなく、企業にどのように貢献できるかを強調するようにしましょう。
キャリアカウンセラーからのアドバイス

ワークライフバランスを理由に志望する場合でも、制度が整っているから志望しましただけでは印象が弱いです。これまでの経験のなかで、どう働くことで成果を出せたのか。その経験を志望企業でどう活かして貢献できるのか。これを具体的に伝えることが何より大切です。整っている環境だからこそより高い成果をだせる、という姿勢を見せましょう。
面接で、ワークライフバランスを重視と伝えるときのコツ
志望企業に面接の機会がもらえたなら、ワークライフバランスを重視する理由を、前向きに伝えたいところです。ここでは、面接でポジティブに伝える具体例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 限られた時間のなかで、最大限の成果を出すことを大切にしています。前職では、業務効率化に取り組み、チーム全体の残業時間を〇%削減する成果を上げました。時間を有効活用することで、より質の高い仕事が行えると考えています。
- 将来的に、結婚や育児などのライフイベントを迎えても継続してキャリアを積み重ねていきたいと考えています。そのためにも、制度の整った環境で、長期的に会社に貢献したいです。
まとめ | 20代からワークライフバランスを意識した転職で将来を安心に
20代は人生の選択肢が多い時期です。この時期にワークライフバランスの整った環境に身を置くことで、さまざまなライフイベントが起こっても、充実したキャリアを継続できます。
今の働き方を変えたいと感じているなら、それは行動を起こすべきサインかもしれません。まずは情報を収集し、あなたらしい理想的なワークライフバランスを実現できる企業を見つけていきましょう。