【100人に聞いた】あなたの転職の決め手は何ですか?―転職・再就職に迷った時のヒント―
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「自分にはどんな会社が合っているのだろうか?」「他の人は何を決め手にしているの?」転職や再就職を検討する際、こうした不安や疑問を多くの人が抱えています。この記事では、転職・再就職経験者100人へのアンケートをもとに「決め手」や「不安の乗り越え方」をご紹介します。
目次
調査時期:2025年7月
調査方法:オンラインアンケート(パネル/募集方法を明記)
回答者:20~50代の転職・再就職経験者、n=100
回答形式:設問ごとに単一/複数回答を明記、自由回答は要約あり
集計注記:端数処理、小数点、無回答の扱い
表記注記:自由回答は読みやすさのため一部表現を整えています
第1章|転職・再就職前の状況
今みなさんはどのような状況に置かれていますか?
仕事のブランクがある方、再就職を急いでいる方、転職活動にじっくり時間をかけられる方、状況は様々ですよね。
ここでは、経験者100人が転職・再就職に向けて動き出した時の状況について、アンケート結果を見ていきましょう。
Q.1|離職期間はどのくらいありましたか?

〈離職期間 アンケート結果〉
1年未満が最も多く57人、3年未満33人、5年未満6人、5年以上が4人。離職から1~3年の間に復職する方が9割を占めています。
Q.2|転職・再就職を決意してから就職先が決まるまでにどのくらいかかりましたか?

〈決意から就職先が決まるまでの期間 アンケート結果〉
1ヶ月未満が9人、3ヶ月未満が半数を超える54人、6ヶ月未満が20人、半数以上が17人という結果になりました。内定までの目標期間を決めて転職・再就職活動をするのも良いかもしれませんね。
第2章|【決め手】なぜ転職・再就職に踏み出したのか
「転職や再就職を考えてはいるが、なかなか踏み出せない…」そんな気持ちを抱える方もいるのではないでしょうか。そこで、経験者100人が当時どんなことを考えていたのか聞いてみました。
Q.1|転職・再就職を考えた理由は何ですか?

〈20~30代 転職・再就職のきっかけ アンケート結果〉
20~30代の上位は、「自己実現・キャリア形成」が一番多く28%、次いで「家計を支えるため」21%、「社会とのつながりを持ちたかった」13%という結果になりました。

〈40~50代 転職・再就職のきっかけ アンケート結果〉
40~50代の上位は、「家計を支えるため」が一番多く25%、次いで「自己実現・キャリア形成」21%、「生活にメリハリをつけたかった」16%という結果になりました。
~コメント抜粋~
・結婚して家庭を持ち、今後子どもを育てていくための資金が必要だと思ったから。
・子どもの手が離れたことに加え、家計に不安があったから。
・前職でのキャリアアップが見込めず、スキルアップ・自己実現できる環境で働きたかったから。
・将来への不安があり、社会との関わりを求めていたから。
・前職に昇給制度がなく収入に不安があったから。
・営業ノルマや上司との関係が精神的につらく、このまま働き続けるのが難しくなったから。
・親の介護のため、残業がなく介護に理解のある環境で働きたかったから。
第3章|【決め手】転職先をどうやって選んだのか
自分に合う会社や働き方がわからず、どのように就職先を決めればいいか迷ってしまうことがありますよね。経験者100人がどのようにして現在の職場を選んだのか、リアルな声を集めました。
Q.1|転職・再就職前後の職種は同業種?異業種?

〈転職・再就職の前後の業種 アンケート結果〉
転職・再就職の前後の業種が同じ方が55%、異なる方が45%という結果になりました。
やりがいや憧れの仕事・新しい環境を求めて異業種を選ぶケースもあれば、今まで培った経験やスキルを活かして同業種でステップアップしていくケースもありそうですね。
Q.2|転職・再就職先の“決め手”は何ですか?
ケース①|働き方
~通勤や環境など「働き方」を重視した人の声~
・体調を壊したため、肉体労働ではなく座れる仕事を選んだ。
・安定した働き方・成長できる職場環境を求めて、新しい業界に挑戦した。
・通勤やライフスタイルを見直した上で長く働ける環境を求めた。
・子育てと両立するため、テレワークが可能な職場を選んだ。
ケース②|安定性
~給与や待遇など「安定性」を重視した人の声~
・安心して働くため、安定した基盤を持つ企業を選んだ。
・仕事の実績を正当に認めてくれる環境で働きたいと思った。
ケース③|やりがい・成長
~キャリアのステップアップやスキルが活かせる環境など「やりがい・成長」を重視した人の声~
・若い頃からの夢だった広告業界に、今の感性でチャレンジしたいと思った。
・今まで培ってきた「総務人事」の知識を中小企業で活かしたかった。
・ずっと憧れていたIT業界に挑戦したいと思った。
・金融の中でも個人資産運用に強い企業に魅力を感じ、キャリアの再構築をめざした。
・自分らしく働きたいと思い、興味のあったWeb業界での再スタートを決意した。
・前職で自分のスキルがわかったので、興味のある業種に転職を決めた。
第4章|【不安と対処法】ブランク・年齢・スキル
いざ転職や再就職を決意したものの、新しい環境に飛び込むにあたり、不安や障害はつきものですよね。経験者のみなさんはどのようにして不安や障害を乗り越えたのでしょうか。
Q.1|転職・再就職活動で不安だったこと・障害になったことは何ですか?

〈転職・再就職をする上での不安や障害 アンケート結果〉
上位は、「職場の人間関係への不安」が一番多く21%、「業務知識・ブランク」が19%、「PCスキルやIT知識の不足」・「年齢的なハードル」が16%という結果になりました。職場の人間関係は外から見えづらい分、不安も大きいですよね。
Q.2|それらの不安に対して、どのように対処しましたか?
①|選考編
ポイント:自己分析の言語化・職場見学
~コメント抜粋~
・スキルや感覚の鈍りに対する不安があったため、今まで習得してきたものを自己分析・言語化して面接に臨んだ。
・まずは自分の強みや経験を整理し、転職市場でどう活かせるかを具体的に考えた。
・なぜブランクがあるのか、ブランク期間は何をしていたか、といった点に関して企業側が不安にならない説明を準備した。
・在籍社員のキャリア・職場の雰囲気や働きやすさなどが気になったため、いくつかの事業所の職場見学をした。
②|スキルアップ編
ポイント:学ぶことで不安を軽減
~コメント抜粋~
・年齢に不安があったため、日商簿記など再就職に有利な資格を取得し、自信をもって再就職活動に臨んだ。
・AdobeのIllustratorや簡単なデザインツールの使い方をオンライン講座で一から学び直すことで、年齢に引け目を感じなくなった。
・IT知識が不足していたので、IT関連の書籍を何十冊も購入して勉強した。
・PCスキルを学ぶためのオンラインの講座でスキルアップした。
③|就職後編
ポイント:周囲の協力やコミュニケーションを大切に
~コメント抜粋~
・子育てが二の次にならないよう、親からの協力体制を整えた。
・年齢的にも新たな人間関係を築くことに不安があったが、積極的にコミュニケーションをとることで打ち解けることができた。
第5章|【転職・再就職活動の振り返り】やってよかったこと/もっとこうすれば良かったこと
経験者のみなさんに、当時の転職・再就職活動を振り返ってもらいました。
心に響いたものは、ぜひご自身の就職活動に取り入れてみてくださいね。
Q.1|業界/企業選びや転職準備について、やっておいて良かったことはなんですか?
①|業界/企業選び編
ポイント:職場体験や社員の生の声によりミスマッチを防ぐ
~コメント抜粋~
・SNSを活用して実際に働く社員の雰囲気を知ることができたのは大きかった。
・職場の雰囲気や勤時間など、自分の体調に合った無理のない条件を優先したのは良い判断だった。
・年齢や病歴に後ろめたさを感じるのをやめ、今できることに集中するという気持ちで行動したことが再出発の力になった。
・在籍社員などに会うことが難しければ、SNSを覗くことやDMでコンタクトを取ることも一つの手。
・複数社から内定が出た際、それぞれの社内の雰囲気を知るべく数日職場体験をしてから就職先を決めた。
②|スキルアップ編
ポイント:プロからの学びやアドバイスを活用
~コメント抜粋~
・やはり資格は取得しておいて良かった。
・職業訓練校での学びが有効だった。
・キャリアコンサルタントやハローワーク相談員からのアドバイスはかなり役に立った。
・興味のあることがいつ仕事になるかわからないので、気になる分野の知識習得は損得考えずにしておくべき。
③|エージェント編
ポイント:多角的な視点や専門的知識が有益
~コメント抜粋~
・転職エージェントを複数活用し、それぞれ異なる視点でアドバイスをもらえたのは良かった。
・業界特化の転職エージェントを利用したことで、より具体的な相談ができた。
・面接対策に強い転職サイトを利用したので、的確なアドバイスのもとしっかりと受け答えができた。
・転職アドバイザーにブランクや希望の働き方を細かく伝えておくことで、自分に合った求人を紹介してもらえた。
・転職エージェントはたくさんあるが、どのアドバイザーが自分と真摯に向き合ってくれるか見抜くことが重要だと感じた。
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④|その他
・余計なことを考えると不安が募っていくので、なるべくサクサクと進められるように準備をした。
・難しく考えすぎるのも良くない。何か問題があればやめてもいいという余裕や柔軟な考えを持つことも大事だと思った。
Q.2|業界/企業選びや転職準備について、もっとこうすれば良かった!と思うことはなんですか?
①|業界/企業選び編
ポイント:実態把握・業界分析
~コメント抜粋~
・ホームページだけでなく、実際に社員から話を聞くべきだった。
・エージェントから事前にもっと情報を細かく聞き出せば良かった。
・転職先の業界の現状や将来性に関する分析を深めた上で、企業選びをすべきだった。
・金銭面に関して、慎重に計算してから転職すれば良かった。
・自分がやりたいことだけでなく、「今後伸びる業界」にフォーカスを当てれば良かった。
・途中から他の業界以外にも興味を持ち始めたため、もう少し早く準備を始めていれば選択肢が広がったと思う。
②|スキルアップ編
ポイント:準備期間に余裕を持つ
~コメント抜粋~
・履歴書記入のために資格をもう少し取っておけば良かった。
・スキルの棚卸しと実務経験の準備をもっと早く始めておくべきだった。特にIT業界は技術の進歩が早いので、未経験分野へのキャッチアップは予想以上に時間がかかった。
③|エージェント編
ポイント:自己分析・エージェント分析
~コメント抜粋~
・希望していない仕事を紹介されることがあるため、自己分析による適性や要望をアドバイザーにしっかりと伝える事が大事だと思った。
・初めは自力で情報収集していましたがうまくいかず、初めからエージェントを利用すれば良かった。
・スカウトサービスなどを利用していればシフトや給与などの処遇が上がっていたかもしれないと感じている。
④|その他
・仕事を続けながら転職活動を進めるべきだった。離職期間中の金銭的な不安や精神的な焦りは想像以上で、転職活動にも影響してしまった。
・仕事をしながらの転職活動だったため、企業説明会やカジュアル面談を見送ってしまったことがあり、もっと時間を確保しておけば良かったと感じた。時間の余裕が、選択肢の質にも影響すると強く実感。
コラム|「語学を学び、社内通訳に」主婦からの再挑戦ストーリー
100人の経験者へのアンケートから、さまざまな転職の決め手や不安の解消法などを見てきました。次に、継続的な学習と小さな実務機会の積み重ねを通して、再就職に成功したMさんの例をご紹介します。

Mさん/女性 再就職時:40代前半(子ども12歳・7歳)
〈経歴〉
・大学卒業後、航空会社で12年、発券カウンターで9年勤務
・第二子妊娠と同時に退職後、専業主婦となる
・海外旅行時に英語力の低下を感じ、週一で英語学校に通い始めたことをきっかけに通訳の道へ
・現在はフルタイムで企業の社内通訳に従事
専業主婦時代、家族での海外旅行時に英語力の低下を感じたことから、ブラッシュアップのために週一で英語学校に通い始めました。必死に勉強を続け、進級を重ねるうちに通訳クラスに入れるようになりました。学びを継続しながら、月に数回程度の通訳の仕事にも挑戦した結果、離職から13年が経った頃に企業での社内通訳のお誘いをいただきました。そこで一つの企業で様々な人と関わりながら一人の人をサポートする面白さに目覚め、以来、社内通訳というスタイルで仕事をしています。
復職を考えるようになったきっかけは、下の子どもの小学校入学を機に時間ができたこと、これまでの経験を生かして再び社会に出たいと思ったこと。そして、夫の転職時に約1年の失職期間があり、自分にも収入があった方がいいと考えたからです。
現在の仕事に就くまでに、英語・通訳学校には累計5年以上通い、自宅での勉強も継続していました。この時に得た技術は現在の仕事にも役立っていますし、英語学校に通わなくなった今でも実務を通して勉強の日々です。自分が何をしたいかということも大切ですが、軸はぶらさず、機会にはオープンな気持ちや姿勢を保つことで、思ってもいないようなところから考えてもいなかったような仕事が来て、やってみたらとても自分に合っていたということもありました。古い言い方ですが、ご縁も大切だと思います。
子どもが小さい時に勉強を始め、子育てと両立しながら高い授業料を払う中、なかなか成績が上がらない時期や仕事が順調に来ない時期もありました。当時は悩みや不安も多かったですが、今は思い切って一歩を踏み出して良かったと思っています。ブランクがあると踏み出すにも勇気がいると思いますが、実際働き始めると年齢のせいで気おくれしていたことが嘘のように、歳のことは誰も気にしていません。大切なのは与えられた仕事を全うすることだと感じています。
今後、時代の流れや自身の生活の変化で働き方は変わっていくと思いますが、柔軟に自分なりの働き方を見つけていきたいと思います。
第6章|【まとめ】迷ったときの「決め手」の見つけ方
「決め手」を見つけるために大切なことは、価値観の整理をした上で、情報収集や比較検討をしっかりとすること。その上で、必要なスキルや資格取得を計画的に進めれば、選択肢は広がります。また、一人で抱え込まず、周囲の人やエージェントの力を借りながら進めることで、新しい道が見えてくることもあります。
転職や再就職においては、正解は一つではありません。現在の状況、そしてこれからの人生において大切にしたいことは何か、よく考えた上で、後悔のない転職・再就職をめざしてきましょう。